スペインを代表するワインのひとつ「CAVA」。
シャンパーニュと同じ製法を用いて洞窟(=CAVA)で熟成させることからその名がついたと言われるスパークリングです。
お店に立ってソムリエとして働いていた頃はよくお客様から「カヴァが好きで~」というお話をいただいたものでした。

このワインを産み出すワイナリー「バルドリーナ」の有する産地は11ヘクタールと非常に狭く、山間になんとか隙間をみつけて畑を作っているような状態。
ブドウ栽培は、小さな小さな区画で行なわれています。
こうした条件の下では収量は大変低くなってしまいますが、ブドウの凝縮感は比類ないものとなります。
その外観は極めて淡いレモンイエロー。豊かな泡が立ちのぼります。
結婚式のブーケのような、白いお花に包まれた香り。加えてブリオッシュを思わせるパンのような…いわゆるイースト香を感じます。
口当たりは蜂蜜やカラメルのようなニュアンスを含みつつも、
発泡の爽やかさでするりと飲める感じがCAVAらしく、嬉しくなります。
この蜜を思わせるコクのある味わいはどこから来るのか…調べてみるとこのワイン、
第一搾汁だけを使い長期熟成することでコクと深みのある味わいを実現しているとのこと。
はっきとした芯のあるこだわりを持ち、ワインへ向き合うこの造り手。
どんな方なのかというと…「畑に住んでいるような」醸造家です。
現在のワイナリーを設立したジョアン・バデルの仕事ぶりは「ひたすら畑を愛し、他はただ一生懸命働いて成功を祈るだけ」というものでした。
そんな父の背を見て育ち、父親譲りの情熱と畑への愛情を受け継いだライモン。
学校教育を終えるとすぐに夢を叶えるためのステップとして世界の様々なワイン産地へ渡り修業を積みます。
そして故郷に戻り自分のワイン造りを始めた時、「畑や周囲の土地の特徴(テロワール)を大切にしながら、ブドウを一番大切にしよう」と決心しました。
ワインはテロワール固有の特徴だけでなく、造り手が込めた愛情や手間によっても完成すると考えているからです。
自分にも他人にも厳しく、繊細な感覚の持ち主です。
また、バルドリーノのような小さなワイナリーでは複雑なカバ造りの工程も全てが手作りです。
ワインを造るのも、セラーに運び入れて熟成させるのも、
いくつものワインを産み出す工程を小さな部屋のような施設の中で全て手作業で行っています(さすがに大変な時はワインの移動などを友人に頼むそうです)。
まさに情熱と愛情が込められた手作りのワインといえるでしょう。
余韻にはミネラル感。硬い石を舐めたようなキリっとした表情にプラス、鼻に抜ける香りは華やかなお花と蜂蜜のフレーバー。
CAVAを好きな女性も多いと思います。
このあたりの豊かなアロマも女性人気のポイントなのかも…。
スパークリングは個人的にやはり「乾杯の1杯目」の印象が強いせいか、前菜系とあわせたくなります。中でもチーズ系とはよく合いそう。
カプレーゼをはじめ、冷たいお肉…生ハム、パテドカンパーニュ、ガランティーヌみたいなものでいただきたいですね。
ペネデスD.O.の上級地区アルト・ペネデスのなかでも、特にブドウ栽培家憧れの地と言われるオレサ・デ・ボネスバル村にあり、古くは1349年の記録にも見られる歴史あるエステイト(醸造所)。
なにげない日常が、ちょっと素敵な夜になるかもしれません。
●生産者/【バルドリーナ】
●原産国:スペイン
●産地:カタルーニャ
●原材料:シャレロ 42%/マカベオ 26%/パレリャーダ 26%/シャルドネ 6%
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