イタリアの「フランチャコルタ」。
スパークリングワイン…イタリア語で「スプマンテ」のひとつですね。
「スパークリングワインといえば?」と問われて10人中10人が答えるのは「シャンパン(シャンパーニュ)」かもしれません。
さて、シャンパーニュとはフランスのワイン生産地の名が冠されたワイン。
…と同様にこの「フランチャコルタ」もまた、北イタリアの地域の名が掲げられたスプマンテです。
ぼくにとって思い出深い一本なのですがさて、ワインを讃える最大級とも呼ばれる賛辞に「フィネス」というものがあります。
感覚的で、訳すのが少し難しいのですが「洗練されたもの」「繊細なもの」「上質であるもの」という感覚でしょうか。
この「フィネス」という言葉をこそ、フェルゲッティーナのフランチャコルタに添えたいなと思います。
いや…ぼくにフィネスという感覚を理解させてくれたのが、この1本のワインだったようにすら思えます。
そんなスプマンテを造ったワイナリーの名は、アジィエンダ・アグリコーラ・フェルゲッティーナ。
小さな、家族経営のワイナリーです。
造り手のロベルト・ガッティ氏は無口で働き者で、「頑固職人」を絵に描いたような性格。
生まれも育ちもフランチャコルタ、そして仕事もフランチャコルタという根っからの地元人。
カ・デル・ボスコ、ベッラビスタなどが他業種からビジネスとしてワイナリーを興し、名声を得たのに対し、地元の人間が興した蔵といえます。
全て自分の手の届く範囲でつくりあげます。
大きな会社のような大量生産ではなく、家族で力を合わせて丁寧に造った温かみのあるワインは、世間の人々の心を捉え、
大きな宣伝を行ったわけでもないのに、口コミで評判のワインとなりました。
現在はミラノの醸造大学を卒業した娘のラウラさんが醸造だけでなく経営面でのサポートや、ロベルト・ガッティ氏の苦手なプロモーション活動を助けています。
こうして二人三脚でお互いの長所や短所をフォローしあいながら作り上げてゆくワイン。
使われている品種は、白葡萄のシャルドネが100%。
100パーセントの白葡萄から造られる白きスパークリングは「Blanc de Blanc(ブラン・ド・ブラン=白からの、白)」と呼ばれます。
繊細な泡立ちと白葡萄由来のエレガントな味わいは本当に感動的でした。
オレンジや洋ナシのようなジューシーなアロマに、ひと垂らしされたシャープな柑橘…レモンやライムが香る豊かで清冽な香り。
白いお花を思わせるニュアンスもあり、清純で透明感のある香りが綺麗に漂います。
そして、驚きの口当たり。
華やなお花の味わいに蜂蜜を溶かし込み加えたような、驚異的にバランスの良いアタック。
また、そこに寄り添う泡があまりにも繊細、美しすぎます…
この泡のニュアンスはフランチャコルタのみが世界で唯一称することができる「サテン」という泡立ちが為せる技かもしれません。
1995年に商標登録された「サテン」…。フランチャコルタは、通常は5気圧以上のものが多いですが、サテンのガス圧は5気圧以下で作る規定があり、気圧が低くなる分、口あたりがとてもクリーミーでなめらか。
よく冷やしたときの淡雪のような味わいは本当に感動的ですが、
なによりもその作り手の熱意、情熱とともに味わっていただきたくなる、最高の1本です!
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